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「ゲン」削除 方針変えず 広島市議会特別委 市教委が説明

 漫画「はだしのゲン」を広島市立小の平和教育プログラムの教材から削除する市教委の方針を受け、市議会の予算特別委員会で27日、市議から経緯説明や見直しを求める意見が相次いだ。市教委は削除方針を変えなかった。

 共産党の市議は「漫画の一部では被爆の実態に迫りづらい」とする市教委側の説明に対し、「漫画を通した方が子どもに伝わりやすい。納得できない」と語気を強めた。プログラム改訂を検討した有識者会議の議事録を読んだといい「削除をどこでいつ決めたのか、はっきりしない」と、決定過程を問題視した。

 無党派クラブの市議は、教える側中心の有識者会議の構成に触れ「(児童に)どう教えるかの方法論になびいている」と指摘。被爆者や、実際に教材で学んだ若者たちを議論に加える必要性に触れた。

 一方、自民党保守クラブの市議は「ゲンへの思いはあるが、時代の変化に応じて変わることを駄目とは言わない」と一定の理解をみせた。

 一連の質疑で、市教委指導第一課は、ゲンを削除した4月からの新教材について「内容を固めた」と明言。ゲンをはじめ被爆の実態を学べる作品を夏休みに合わせて学校で紹介する取り組みや、有識者会議の構成員の見直しなどを今後検討するとした。(宮野史康)

(2023年2月28日朝刊掲載)

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