×

ニュース

中央図書館 請願の行方は 広島市議会 迫る改選「廃案」の懸念も 市民団体 「責任持ち判断を」

 広島市中央公園(中区)にある市立中央図書館をJR広島駅前の商業施設エールエールA館(南区)に移転する計画で、複数の市民団体が市議会に提出した移転反対を求める請願の扱いが焦点になっている。改選が迫り、開会中の定例会で採択の可否を判断しなければ、事実上の「廃案」となるためだ。市民団体は「議員は結論を避けず、責任を持って判断してほしい」と求めている。(余村泰樹)

 中央図書館に関する請願は、市が移転の関連予算案を市議会に提案した2022年2月以降、6件出ている。移転反対▽現在地での建て替え▽徹底審議した上で整備地を決める―などを求める内容。5件は委員会で審議入りしているが結論は出ておらず、今月20日提出の最新の1件は未審議の状態だ。

 市議会は過去の改選期に、継続審議し続けた請願を任期満了と共に廃案にしたケースがある。前任期(15~19年)では全請願の64・7%、前々任期(11~15年)では76・2%に上る。4月9日の市議選を経て5月1日に任期満了を迎える中、今の定例会中に結論が出なければ「選挙後すぐに委員会を開くのは、日程的に無理じゃろう」(ベテラン市議)。

 中央図書館の請願を主に扱う総務委員会の渡辺好造委員長(公明党)は「結論を出せるものは出すように議長から言われている。執行部から説明を聞き、しっかり対応したい」と強調する。

 一方、市民団体は請願が「棚ざらし」に終わるのを懸念する。移転を巡り、市議会は22年度予算を認める一方、「関係者への丁寧な説明や理解を得て移転先を決める」との決議を付ける「玉虫色」の判断をしたためだ。市民団体が1月にまとめた移転の是非を聞くアンケートでは市議50人のうち、賛成15人、反対14人。21人は無回答として態度を明らかにしていない。

 請願を審議する次の常任委員会は3月7日に開かれる。改選前最後となる見通しで、改選後には請願を持ち越せない。提出した市民団体の一つ「広島文学資料保全の会」の土屋時子代表(74)は「市民に選ばれた議員として自らの考えを示してほしい」と話している。

(2023年2月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ