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色あせない 峠三吉の願い 「ちちをかえせ ははをかえせ」草稿・日記 没後70年特別公開 中区

 原爆詩人峠三吉(1917~53年)の没後70年に合わせて、広島市中区の原爆資料館で本人直筆の草稿や日記が特別公開されている。13日まで。

 51年刊行の「原爆詩集」の草稿は、B4判のわら半紙41枚。「ちちをかえせ ははをかえせ」で始まる有名な詩が見える状態で展示してある。詩は万年筆で書かれ、赤ペンや鉛筆で推敲(すいこう)した跡がある。

 45年1~11月に書かれた日記は、自身が8月6日に翠町(現南区)の自宅で被爆した瞬間を「猛然と家震動し窓硝子(ガラス)微塵(みじん)に飛び天井裂け落ち」などと詳述。奥付に「随意日記」と記し、同8月の出来事などをしたためた日記帳も並ぶ。

 草稿は9年ぶり、日記は6年ぶりの公開。峠の生い立ちを紹介するポスターも展示した。同館は「手書きの文字から峠が見た被爆の情景や胸の内を感じてほしい」と来場を呼びかける。会場は東館地下1階の情報資料室。入場無料。午前8時半~午後5時。(田中美千子)

(2023年3月3日朝刊掲載)

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