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福島から島根県吉賀 介護学ぶ 今春専門校卒業の尾崎さん 故郷離れ広島で「自立」

 東日本大震災を機に六日市医療技術専門学校(島根県吉賀町)に入学した福島県郡山市出身の尾崎里奈さん(22)が今春、2年間の学生生活を終える。「自立し、自分に厳しくしたい」と卒業後は故郷の親元を離れ、広島市東区の特別養護老人ホームを就職先に選んだ。(石川昌義)

 高校卒業後、尾崎さんは郡山市内の特養に勤務。福島第1原発事故による放射線被害の影響で古里に動揺が広がる中、震災9カ月後に同校が同市で開いた入学説明会に参加。学び直すことにした。

 ハローワークを介した離職者の公共職業訓練制度を取り入れる同校の同級生は34人。大半が年上だったが、介護福祉士を目指して一緒に勉強した。町内の高齢者施設での実習では「スタッフと入所者が知り合い同士で、施設の中がご近所みたいだった」と振り返る。

 人口約32万人の郡山市から中国山地の真ん中への移住には戸惑いもあった。だが、町内で知り合った農家と農作業を体験したり、アルバイト先の中国料理店で店長一家や常連客と交流したり…。「本当に人に恵まれた」と笑顔を見せる。

 郡山市には母と姉が暮らす。帰郷も考えたが「地元に戻れば甘えてしまう」と広島での就職を決めた。3月5日の卒業式には母と姉が駆け付けて門出を祝う。

(2014年2月12日朝刊掲載)

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