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大型旋盤 展示始まる 大和ミュージアムに新施設 CF2億7000万円 話題に

 世界最大級の戦艦大和の主砲を削り出したとされる大型旋盤の展示施設が5日、呉市の大和ミュージアム敷地内にオープンした。市がふるさと納税型クラウドファンディング(CF)で整備費用を募り、目標を大きく上回る寄付金が集まったことでも話題となった。ミュージアムの新たな中心施設として戦争やものづくりの歴史を伝える。(仁科裕成)

 ミュージアム西側に建てた施設は縦6メートル、横17メートル、高さ10メートル。壁面がガラス張りの鉄骨平屋で、建物の周囲を回って見学できる。CFで集まった寄付金を活用し、市が建設費約8800万円、輸送設置費約6千万円をかけて整備した。

 この日、約300人が見守る中、現地で除幕式があり、旋盤を寄贈した機械加工「きしろ」(兵庫県明石市)の松本好隆社長たちがテープカットをして公開が始まった。CF支援者の会社員田中郁光さん(23)=東京=は「ついに完成したかと思うと感慨深い。貴重な資料を大切に保存し伝えていってほしい」と話した。

 旋盤は長さ16メートル、高さ4メートル、重さ160トン。旧海軍が1938年にドイツから購入し、呉海軍工廠(こうしょう)で口径46センチ、長さ約20メートルの大和の主砲身の外側を削ったとされる。

 空襲を逃れ、53年に神戸製鋼所高砂製作所(同高砂市)に払い下げられ、96年からきしろで大型船のクランク軸などを加工した。2005年のミュージアム開館前に呉市が展示を打診したが、当時は現役で稼働しておりかなわなかった。13年に役目を終え、同社が市に寄贈を申し出た。

 CFでは最高目標1億円を上回る2億6948万円が全国6626人から寄せられた。戸高一成館長は「大和を造り、戦後は人々の生活を支えた機械。人間が技術をどう使ってきたのか、その歴史が刻まれた本物を見て感じてほしい」と話した。

(2023年3月6日朝刊掲載)

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