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@ひろしまサミットまで 74日 被服支廠

 爆心地の南東約2・7キロ。旧陸軍被服支廠(ししょう)(広島市南区)は現存する最大級の被爆建物です。4棟の倉庫がL字型に残り、被爆時の爆風で変形した鉄扉が惨禍を伝えます。

 1913年に建てられ、軍服や軍靴を製造。戦時下で多くの人が動員され、保育所も設けられました。被爆直後は臨時の救護所となり、負傷者が次々運び込まれました。その様子は原爆詩人・峠三吉が「原爆詩集」に収めた「倉庫の記録」に描かれています。

 耐震化のコストを理由に、県は2019年に一部解体案を提示。被爆者たちが、軍都広島の歴史や原爆被害を伝える物言わぬ証人として保存を求め、現在は全4棟の利活用策が検討されています。(加納亜弥)

(2023年3月6日朝刊掲載)

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