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社説・コラム

天風録 『ふりかけと外国人』

 平和記念公園を歩く。外国人の姿が再び目立ち始めた。コロナ禍の出口が見えてきたのを肌で感じる。しばらく低迷した訪日旅行の土産として新たに注目を集める食品がある。日本人が大好きなご飯の友、ふりかけである▲先日、NHKのうんちく番組「突撃!カネオくん」で教わった。確かに安く、かさばらない。米飯を食べない国でもパスタやサラダ、トーストなど多様に使うらしい。ハワイではポップコーンにトッピングが常識とか▲戦後、偏りがちな栄養を補う意味もあったジャパン・オリジナル。番組のカメラは広島の三島食品の名物、赤しそふりかけの製造現場にも入っていた。最近は各社の乾燥技術が格段に進み、具材の幅はみるみる広がる▲単身赴任時代、定番の「友」に日々、お世話になったものだ。スーパーの棚をのぞくと前に比べ、顔ぶれはぐっと増えていた。すき焼きふりかけに広島産のカキ入り‥。食文化はこうして変わっていくのかもしれない▲成長が続くふりかけ市場に対し、コメの消費量の落ち込みが気になる。白米が苦手な外国人は少なくないと聞く。「かけ」なくても別に問題はないが、ご飯との抜群の相性を教えてあげたくもなる。

(2023年3月5日朝刊掲載)

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