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脱原発条例に否定的 島根知事 意見付け議会提案

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)が立地する島根県の市民団体が、再生可能エネルギーの普及により脱原発を図る条例制定を県に直接請求したことを受け、溝口善兵衛知事は12日「実効ある計画の策定は困難」と否定的な意見を付けて条例案を県議会に提案した。

 この日開会した定例会冒頭の演説で表明した。条例が目指す再生可能エネルギーの供給力が県内の消費量を上回る「エネルギー自立」には、財源の確保や技術革新など国の支援が必要と指摘。請求内容には「問題点があり慎重な対応が必要」と結論付けた。

 溝口知事は、2011年度の県内での再生エネルギーの生産量(推計値)がエネルギー消費に対し2・6%にとどまる点を指摘。「自立」には、約40倍の再生エネルギーの生産が必要だが、そのプロセスが明確でないと批判した。

 これに対し、請求側代表の北川泉島根大元学長(82)は本会議で「県民の期待は大きく、産業振興にもつながる条例」と反論。「問題は多いが、皆の知恵を出して困難さを越える姿勢を示してほしい」と訴えた。

 条例は、市民団体「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」が7日、地方自治法で定められた県内有権者58万3637人(昨年12月時点)の50分1を大幅に超える8万3323人分(有権者の14・3%)の有効署名を添えて県に制定を求めていた。(樋口浩二)

(2014年2月13日朝刊掲載)

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