×

連載・特集

@ひろしまサミットまで 73日 被爆ピアノ

 広島の原爆で傷ついた米国製のアップライトピアノが広島市中区の被爆建物レストハウスにあります。元の持ち主は19歳で被爆死した河本明子さん。今の西区三滝本町にあった自宅の窓ガラスが原爆の爆風で割れて飛び散り、ピアノの側面には破片が刺さっています。

 明子さん一家と親しかった市民が「不条理に命を絶たれた少女の物語を伝えたい」と2005年に修復。共感が広がり、故ピーター・ゼルキンさんやマルタ・アルゲリッチさんたち世界的ピアニストも奏でました。

 明子さんの日記には勉学や合唱に励んだ青春の日々がつづられています。ピアノの音色には在りし日の少女の姿が重なります。(加納亜弥)

(2023年3月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ