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脱原発条例 島根県知事が否定的見解 再生エネ普及 困難さ強調 

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の地元市民団体が島根県に制定を求めた脱原発条例に12日、溝口善兵衛知事が否定的な見解を示し、県議会に提案した。最大の論拠としたのが、再生可能エネルギーの普及に向けたハードルの高さだった。団体側は「困難だからこそ実現に向けた計画が必要」と県側に迫ったが、両者の主張は平行線をたどった。(樋口浩二)

 「困難さを強調しないでほしい。乗り越えるための努力をしてほしい」。市民団体「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」代表の北川泉島根大元学長(82)は県議会(定数37、欠員1)本会議での意見陳述で、溝口知事の意見に反論。今後、制定の是非を審議する県議たちに条例制定の意義を訴えた。

 条例案の中で県が特に問題視したのが、県内の消費エネルギーを全て再生可能エネルギーで賄う「エネルギー自立」の方針だった。「自立」には現在の約40倍の再生エネ生産が必要―。こう説明した資料を県議にも配った。

 だが、本会議後に県が開いた連絡会との意見交換では資料の妥当性に批判が集中した。事務局長の保母武彦島根大名誉教授(72)は「省エネと再生エネの普及が柱なのに省エネの試算が全くなされていない」と指摘。資料の訂正と県議への再配布を求めたが、県政策企画局の藤原孝行局長は「あくまで現状を示した」として拒んだ。

 今後、条例案は県議会総務委員会(9人)で審議される見通しだ。この日の本会議開会のあいさつで五百川純寿議長がエネルギー政策を「国が決定すべきだ」と述べるなど、最大会派の自民党議員連盟(22人)には制定反対の声が根強い。北川代表は近く、勉強会などを開いて県議に出席を求め、賛同を呼び掛ける考えを示した。

(2014年2月13日朝刊掲載)

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