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@ひろしまサミットまで 71日 江波山気象館

 江波山気象館(広島市中区)は原爆で被災した当時、広島地方気象台でした。陸軍の高射砲隊が駐留していた庁舎は、敵機から目立たないように黒いペンキで迷彩を施されました。

 爆心地から約3・7キロ。出勤中の全職員が重軽傷を負いました。同館が保存する8月6日の当番日誌には「盛ンニ火事雷発生シ横川方面大雨降ル」などと記されています。破損を免れた機器で休まずに観測しましたが、戦時中の天気予報は軍事機密でした。

 被爆から約1カ月後の枕崎台風では通信機能の復旧が間に合わなかったため市民に情報が伝わらず、甚大な被害をもたらしました。当時の気象台員たちの闘いは柳田邦男氏の「空白の天気図」に描かれています。(新本恭子)

(2023年3月9日朝刊掲載)

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