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[広島サミット5・19~21] 運営委託先はコングレ 五輪談合受け選定遅れ

 政府は、5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)の会場運営企業を会議運営のコングレ(東京)に決めた。国内のサミット運営を手がけてきた広告最大手の電通が東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件に関わったため選定が遅れた。10日でサミット開会まで70日。担当部署は準備を加速させる。

 外務省によると、グランドプリンスホテル広島(南区)での主会場設営や会議運営などを委託する。2月24日付で契約した。現時点で金額は明らかにしていないが、2016年のG7伊勢志摩サミット(三重県)の会議運営費は12億円だったという。

 政府は昨年11月に委託先を選ぶ入札手続きを始めたが、「万全な実施体制を確保するため」との理由で翌月に中止した。関係者によると、電通が五輪談合事件で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後、入札仕様を変えた。電通は伊勢志摩サミットのほか、大阪市で19年にあった20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会議運営も担っていた。

 「思わぬ誤算」(幹部)で準備に黄信号がともった。再入札を告示したのは1月で、このほど委託先を決めた。主会場の委託先決定は伊勢志摩サミット時は開幕3カ月前。今回は2カ月余りとやや短い。ただ、コングレは伊勢志摩サミットでも一部運営を担っており、外務省G7広島サミット事務局は「業務遂行に十分な能力がある」とする。

 政府は広島サミットで広島県立総合体育館(中区)に構える国内外の報道陣の取材拠点、国際メディアセンターの委託先も近く公表する。

 広島サミットを巡っては、議長で地元選出の岸田文雄首相が今月中旬にドイツ首脳を招くなど動きが活発化する。同事務局は「国際社会に日本のリーダーシップを示し、魅力を発信する重要な機会。準備に万全を期したい」としている。 (樋口浩二)

(2023年3月10日朝刊掲載)

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