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[広島サミット5・19~21] 「原爆犠牲者の追悼を」 韓国大統領招待へ 広島で歓迎の声

 5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた拡大会合へ政府が韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を招待する方向で調整に入ったのを受け、広島県内の在日韓国人や被爆者たちは9日、歓迎の声を上げた。平和記念公園(中区)で被爆者を追悼し、核兵器の非人道性に触れるよう求めている。

 「大統領訪問は広島の在日韓国人の長年の願い」。韓国原爆被害者対策特別委員会の権俊五(クォン・ジュノ)副委員長(73)はこう言って、実現を期待した。公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑への訪問を希望。「犠牲者の追悼に加え、長期にわたって体をむしばんでいく被爆の実態を知ってほしい」と願った。

 一方、広島で被爆した朝鮮半島出身者の犠牲者数は今も分かっていない。「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」広島支部の中谷悦子支部長(73)は「日本政府に犠牲者数を明らかにするよう働きかけ、被害の実態を次代に継承してほしい」と言う。

 「被爆者とも対話を」と訴えるのは県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)。韓国が日本と同様に米国の「核の傘」に安全保障を頼る現状を踏まえ「世界が軍拡の流れにある中、地球上から核兵器や戦争をなくす大切さを知ってほしい」と強調した。(小林可奈)

(2023年3月10日朝刊掲載)

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