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被服支廠「活用の方向性」概要 「平和」「広島」知る拠点に 県懇談会が30案例示

 広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」を巡り、広島県の有識者懇談会がまとめる「活用の方向性」の概要が10日、判明した。交流促進▽平和学習▽広島体感―の三つの方向性を提案し、活用のアイデアとして図書館や平和資料館など約30案を例示する。県は2023年度、国や市とつくる研究会で最終的な利活用策を議論する。(河野揚)

 複数の関係者によると、13日に県庁である有識者懇談会に事務局の県が案を示し、了承を得る方針だ。方向性として「県民・来訪者の交流促進を目指した文化や芸術、生涯学習などの拠点」「広島の自然や歴史・文化、平和などを学べる拠点」「国内外の人々が訪れ、県民とつながり、広島を体感するための拠点」を提案する。

 活用例としてはアトリエや文化ホール、スポーツ施設、自然史や歴史の博物館、ホテル、イベント会場、観光センターなどを挙げた。

 県は所有する3棟の耐震化を決め、21年11月から大学教授や学芸員たちでつくる有識者懇談会と、県民が参加するワークショップで利活用策を議論してきた。ただ参加者から幅広い意見が提案されたため、県はアイデアを絞り込むのは難しいと判断。まず三つの方向性に集約した。

 さらに県は18日に開く別の有識者会議で、国の重要文化財(重文)指定に向けた建物の価値調査の結果も取りまとめる方針だ。旧陸軍施設▽倉庫建築▽れんが造りと鉄筋コンクリート造り▽被爆遺構―の4項目の特質を明記する考え。残る国所有の1棟の価値調査も23年度以降に実施される見込みという。

(2023年3月11日朝刊掲載)

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