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振興策の「原発頼み」後退 上関町議選候補者アンケート 山口

 山口県上関町議選を前に、中国新聞社は、上関原発計画への見解などを立候補者にアンケートした。2010年の前回、06年の前々回と同じ質問2項目を尋ね、立候補者の訴えの変化などを調べた。原発計画が不透明さを増し、原発に絡む財源が当面見通せない中で迎えた今回は、原発反対派は計画撤回に基づく訴えを貫く一方、推進派は原発よりも地域振興策に軸足を置くなどの変化も見える。(井上龍太郎)

 質問は①町の過疎高齢化は深刻。どう振興しますか②原発計画はまちづくりに貢献していますか。理由も併せて答えてください―の2項目。

 今回は推進派立候補者9人のうち8人が原発財源を必要としない振興策を挙げた。高齢者対策(3人)や農漁業支援(2人)婚活イベント企画(1人)。原発を軸としたまちづくり策を挙げたのは1人だけだった。現職の1人は「原発は当分できない。町の衰退は進む」とする一方、8人は原発計画がまちづくりに「貢献している」との考えも示した。

 反対派は過去2回のアンケートと回答がほぼ同じ。立候補した4人は原発計画が長年、町民を推進と反対に二分している弊害や、衰退に歯止めがかからない町の現状を指摘。全員が原発計画がまちづくりに「貢献していない」とした。

 その一方で、海産物の特産品づくりや豊かな自然を生かした町外からの若者定住策を訴えた前回同様、IターンやUターンの受け皿づくりの必要性を強調する声もあった。

 前回は、中国電力が09年末、国に原子炉設置許可申請書を提出するなど計画が大きく進展した直後。推進の立場を取る候補者は、原発の視察者も取り込む観光や原発関連企業の進出による雇用増、原発を学校教育に生かすなど、原発計画を当て込んだ回答を多く寄せていた。前々回も「原発交付金による豊かな町財政」に言及するなどしていたが、今回は原発を軸にしたまちづくりの訴えは立候補者の間では後退した形となっている。

(2014年2月15日朝刊掲載)

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