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豪元捕虜家族 学生と交流 呉高専生が施設案内

 旧日本軍によって戦争捕虜になったオーストラリア兵の家族たちが呉市内で、呉高専の学生と交流した。外務省が企画する「日豪草の根交流計画」の一環。戦後、呉市には進駐軍に参加したオーストラリア兵が多く暮らした。参加者は両国の歴史が残る施設などを巡り、相互理解を深めた。

 全豪退役軍人会のアジズ・グレッグ・メリック会長(73)たち3人が、入船山記念館で旧呉鎮守府司令長官官舎などを見学。呉高専の2~4年生5人が英語で「戦後、官舎ではオーストラリア軍が主力の英連邦軍の司令が暮らした」「和室にはカーテンを取り付けた当時の跡が残っている」などと説明し、質問に答えた。4年津浦隼乙さん(19)は「熱心に聞いてもらえた。呉に親しみを感じてもらえたらうれしい」と話した。

 事業は「心の和解と交流」を目指して、1997年に始まった。呉市は2019、20年とルートに加わったが、新型コロナウイルス禍で中断していた。3人は6~12日の日程で来日し、平和記念公園(広島市中区)や、英連邦戦死者墓地(横浜市)などを訪れた。

 父親が捕虜として鉄道建設の工事をさせられたというレイ・ギルバートさん(63)は同館を見学後に「平和を求め、戦争の歴史を学ぶ日本人がたくさんいると知ることができて良かった」と話し、学生たちに父親の写真を見せるなどして交流した。(仁科裕成)

(2023年3月15日朝刊掲載)

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