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マーシャル諸島 ロヤック大統領にインタビュー 原発再稼働 懸念を表明

 広島市を公式訪問したマーシャル諸島のロヤック大統領が15日、中国新聞社の単独インタビューに応じた。原発再稼働に前向きな日本政府の姿勢に懸念を示し、核兵器廃絶を求める広島の訴えに支持を表明した。一問一答は次の通り。(田中美千子)

 ―広島訪問の目的を教えてください。
 3月1日は米国が「ブラボー」と呼んだビキニ環礁での水爆実験から60年の節目。福島第1原発事故も3月に起きた。この機に原爆の犠牲者を悼むとともに放射線の恐るべき影響を思い起こし、被爆地の広島、長崎、原発事故が起きた福島との連帯を世界に示したい、と考えた。

 ―母国の現状は。
 ビキニ環礁やロンゲラップ環礁などから避難した住民は、いまだ古里に帰れていない。ロンゲラップでは帰還に向けたインフラ整備も進むが、多くが残留放射線を恐れている。私も両親が放射線の影響で甲状腺障害や脳腫瘍を患ったから気持ちが分かる。食用作物を十分に作れるほどの除染も進まない。援助が必要だ。

 ―原発再稼働を急ぐ日本政府の姿勢をどう思いますか。
 高騰が避けられない化石燃料に頼りたくないのだろう。環境汚染の防止、との意味もあるかもしれない。しかし、地震や津波がいつあるか分からず、私は恐ろしいと感じる。影響の怖さを身をもって知っているだけに、福島第1原発事故の被災者にも共感している。

 ―広島に求める役割は。
 核兵器を造り、持ち続ける国はいずれは使うことが念頭にある。二度と被害者を出してはならない。恒久平和を目指す取り組みを続けてほしい。われわれも支持する。交流を続け、共に「核兵器に近寄るな」と、世界に発信し続けたい。

(2014年2月16日朝刊掲載)

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