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START1後継条約 核弾頭数 上限1675で米露合意

 オバマ米大統領は6日、就任後初めてロシアを訪問し、モスクワで同国のメドベージェフ大統領と会談した。両大統領は12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約で、発効後7年以内に、戦略核弾頭数は1675~1500、ミサイルなどの核弾頭運搬手段は1100~500の上限数を達成するとの共同文書に署名した。

 戦略核の上限数は2002年の戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)で定めた上限数2200~1700を下回り、過去最低水準となる。条約の詳細を詰めるためさらに実務レベルでの交渉が必要だが、両大統領が4月の首脳会談で目標に掲げたSTART1後継条約の年内締結に向け、大きな弾みとなった。

 後継条約にはモスクワ条約で定めのなかった履行状況の検証措置も、START1に準じた形で盛り込まれる方向で、オバマ大統領が提唱した「核兵器のない世界」の実現に向け、二大核大国の米ロが先導する姿勢を鮮明にした。

 双方の配備済み戦略核弾頭数は米国が2202、ロシアが2787(ストックホルム国際平和研究所推計)。運搬手段の上限数設定については、優位に立つ米側がロシア側の要求をのんだ格好。ロシア側が反発していた米ミサイル防衛(MD)関連施設の東欧配備については明確な結論は出ておらず、双方の専門家らによる協議を続けるとし、結論を先送りした形となった。

 またロシア側は、オバマ政権が最重要課題の一つに掲げるアフガニスタンの安定化に向け、米軍の対テロ作戦の遂行に必要な軍事物資のロシア領通過を認めることも決定。テロに一致協力して立ち向かう姿勢を示し、昨年のグルジア紛争をめぐり「新冷戦」と評されるまで冷え込んだ米ロ関係の改善をアピールした。

 双方はグルジア紛争をきっかけに凍結していた軍事協力の再開でも一致した。

 オバマ大統領は会談の冒頭「努力すれば目覚ましい進展を達成できる」と合意達成へ強い意欲を表明。メドベージェフ大統領は「米ロ関係の新しいページを開くことができると期待している」と語った。会談では北朝鮮、イランの核問題も協議したとみられる。

(共同通信2009年7月6日配信、7月7日朝刊掲載)

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