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鞆歌う「望郷」被災地癒やす 京都で活動の3人組制作 気仙沼のFMで人気

 広島県福山市の鞆の浦をイメージした曲「望郷」が、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市のFM局で繰り返し流されている。古里で暮らす両親への思いをつづる歌詞が、約900キロ離れた港町の人々の心にも染みている。(衣川圭)

 夕暮れの港 古い常夜灯―。そう歌いだす曲は、京都市を中心に活動する3人組「キッサコ」が福山市でのイベント参加を機に昨夏作り、12月にCDを発売した。

 気仙沼市の「けせんぬまさいがいエフエム」は、同市出身の女性からの情報提供で今年1月上旬に初めて放送。同局のパーソナリティー横田真美子さん(56)は「父親が船で港を出ていく様子が気仙沼と通じる。哀愁を帯びたメロディーがすっと入る」という。その後も、生番組の間をつなぐ曲としてかけ、メンバーも電話出演した。

 震災12日後から、ライフライン情報などを伝え始めた同局。音楽を通じて被災者を元気づける意図もあるという。キッサコのリーダー薬師寺寛邦さん(34)は「津波で風景は変わっても、心の中の古里は変わらないと思う。曲を聴いて少しでも気持ちが楽になってもらえれば」と願っている。

(2014年2月17日朝刊掲載)

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