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放射線災害の復興考察 広島でシンポ 専門家7人が講演

 放射線災害からの復興をテーマにした国際シンポジウムが16日、広島市中区の広島国際会議場であった。広島大の大学院博士課程「フェニックスリーダー育成プログラム」の国際発信の一環で、研究者や学生たち約150人が参加した。

 国内外の専門家7人が講演で、復興支援の過程で市民と向き合う際の留意点などを話した。

 国際原子力機関(IAEA)のレシー・チェム健康部長は「市民とのコミュニケーションの訓練を受けていない科学者や医師がいる。現地で人々の声を聞く必要がある」と指摘。東京大大学院の藤垣裕子教授は「市民が知りたい情報と専門家が伝えたいことが異なることが多い。双方向の対話を促す仕組みが必要だ」と呼び掛けた。

 国際放射線防護委員会(ICRP)のジャック・ロシャール氏も、住民の知る権利を確保する重要性を強調。NHKの水野倫之解説委員による、福島第1原発の汚染水漏れや作業員不足の実態についての特別講演もあった。(山本洋子)

フェニックスリーダー育成プログラム
 放射線災害からの復興を支える専門家を育てる大学院博士課程として広島大が2012年10月に始めた。現在、IAEAや世界保健機関(WHO)などと連携し医療、環境、復興の3コースを開設。日本など5カ国の計19人が物理学や心理学などを横断的に学ぶ。

(2014年2月17日朝刊掲載)

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