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高野菜々 NYで平和の歌声 現地で研修 集大成のコンサート

 広島市安佐北区出身のミュージカル俳優、高野菜々(33)が米国での1年間のレッスンを終え、このほど帰国した。拠点としたニューヨークでは2月、集大成のコンサートを開催。広島への原爆投下をテーマにした美空ひばりの「一本の鉛筆」などを披露し、故郷と平和の思いを込めた歌声をナイトクラブに響かせた。

 昨年3月に海を渡り、ミュージカルの本場で歌やダンスのレッスンを積んだ。ハリウッドにも2カ月滞在し、著名な講師から演技も学んだ。

 「舞台を通じて、平和の尊さを伝える。自分にしかできない表現に気付かされたのが一番の収穫」。英会話のクラスで出会ったロシアやウクライナの人たちと話す中で、戦争の悲惨さを実感した。ニューヨークでも原爆の被害は知られており、広島に生まれた意味を問い続けたという。

 2月のコンサートは全12曲。「一本の鉛筆」は祖母の戦争体験も胸に、日本語で歌い上げた。「届けたかった思いは全て出せた」。中学時代に見てプロを志すきっかけとなったミュージカル「キャッツ」や「アニー」のナンバーは英語で披露した。

 今月6日に帰国した。今後は所属する音楽座ミュージカル(東京)の舞台などに出演。12月には広島公演も控える。「磨きをかけた歌や演技を見てほしい。いつかは日本のミュージカル作品を世界に届けたい」と意気込む。

 コンサートの映像は26日まで動画配信サイトのミレールで、3300円で視聴できる。(山本庸平)

(2023年3月18日朝刊掲載)

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