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被服支廠 国重文の価値 広島県有識者会議 3棟調査まとめ

 広島市南区にある被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」を巡り、広島県の有識者検討会議は国の重要文化財(重文)指定に向けた県所有3棟の調査結果をまとめた。「鉄筋コンクリート造りで国内最古級」「被爆の痕跡が原形のまま残る」など4点の特質を列挙し、国重文の価値があると結論付けた。近く文化庁へ報告する。

 今回の調査で、屋根や窓周りに使われている石材が周南市の大津島産の花こう岩であるのが新たに分かった。また、1913年に完成した現存する4棟は当時、広島市の建設業者だった堀内組(堀内茂吉代表)が建築した可能性が高いとした。見積書や新聞記事から判明した。

 調査結果は、建物の特質を4点に整理した。旧陸軍の歴史を知る上で重要な遺構▽500メートルに及ぶ景観を形成▽コンクリート工法とれんが造りを併用し、設計技術の高さを反映▽被爆の痕跡とともに、数多くの被爆者を受け入れた歴史を持つ―などとまとめた。

 検討会議は18日に県庁であり、調査結果を了承した。県は今後、報告書を文化庁に提出し、重文指定を働きかける。(河野揚)

(2023年3月23日朝刊掲載)

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