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同窓生 78年ぶり再会 白島国民学校で被爆 家族5人失った八木さん 庄原の疎開先から帰省中に被爆 田辺さん

「お互いよく生き抜いた」

 1945年に広島市の白島国民学校(現白島小、中区)に在籍していた八木義彦さん(88)=安佐南区=と田辺良平さん(88)=東区=が、78年ぶりに再会した。5年生だったあの日、八木さんは爆心地から約1・5キロの校舎内で、田辺さんは外出先の路上で被爆。共に家族や家を奪われ、白島と縁が切れた。「お互いよく生き抜いた」。2人きりの「同窓会」で喜び合った。(田中美千子)

 2人は今月半ば、中区で対面した。近所に互いの自宅があったと戦前の地図で確認。「夏は夜店が出てね」「そうそう、金魚なんかを売りよった」「あの先生は厳しかった」…。白島で過ごした日々を懐かしんだ。

 被爆時、校舎の下敷きになった八木さんは一命を取り留めたが、家族5人を失った。遺骨も見つかっていない。その体験を取り上げた2月10日付中国新聞の連載「広島サミット 原点の地で」を読んだ田辺さんが、「同窓生に違いない」と再会を望んだ。

 田辺さんは45年春に今の庄原市へ疎開したが、8月6日は白島の自宅へ帰省中だった。外出先の牛田町(現東区)の路上で母と被爆。仕事に出ていた父はやはり、遺骨も見つからなかった。

 この日、体験を語った田辺さんは「笑って会えて幸せ」と笑顔。八木さんも「この年で同窓生と話せるとは。互いに元気でいましょう」と話し、握手を交わして別れた。

(2023年3月23日朝刊掲載)

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