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社説・コラム

日本流外交 和平につなげて 広島大大学院・片柳教授に聞く

 岸田文雄首相のウクライナ訪問の評価と日本政府の役割について、広島大大学院の片柳真理教授(平和構築論)にオンラインで聞いた。(小林可奈)

  ―今回のウクライナ訪問をどう評価しますか。
 先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、他のG7首脳がウクライナ訪問を終える中、足並みをそろえるために必要だったのだろう。ただ、今回の訪問はロシアを刺激する危険性もはらんでいる。ロシアに対し、和平に近づこうとのメッセージを送り続けるのが重要だ。

  ―ゼレンスキー大統領はサミットにオンライン参加する意向を示しました。
 ゼレンスキー大統領だけを招くと、現状の打開にはつながらない。思い切ってロシアのプーチン大統領にもオンラインで参加してもらうなどの対応を考えても良いのではないか。

  ―ウクライナ訪問を経て日本が取るべき行動は。
 米ロの対立軸がはっきりする中、日本は独自外交で間に立つ役割をG7議長国としても果たすべきだ。これまでの日ロ外交も踏まえ、日本はそれを実行できる立場にあるはずだ。ロシアを糾弾するだけでは何も変わらない。

  ―岸田首相は追加支援策も発表しました。
 中間に立つ役割を果たすためにも、復興や人道といった、軍事に近づかない支援に特化するのが賢明だ。それが日本の支援の評価と和平に貢献できる日本の外交力を高めることにもつながる。

(2023年3月23日朝刊掲載)

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