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平和への願い ダンスに重ね ウクライナから避難 ナタリアさん 福山で26日 市民劇団のミュージカル出演

 ロシアによる侵攻でウクライナから福山市に避難しているフェドロフスカ・ナタリアさん(34)が、市民劇団「ジュエル☆ローゼズFUKUYAMA」が26日に上演するミュージカルに出演する。母国ではプロダンサーだったナタリアさん。「母国の平和への願いを込めて踊りたい」と意気込んでいる。

 演目は「スターダスト・トレイン~銀河鉄道の夜~」。宮沢賢治の著作「銀河鉄道の夜」を基にしたオリジナルの脚本で、ナタリアさんは「星の住人」役で劇中2回登場し、白や黒の衣装で音楽に合わせて踊りを披露する。

 昨年10月、尾道市の因島であったイベントでの観劇をきっかけに劇団側から誘われて出演を決め、西公民館(福山市西町)などで練習を重ねてきた。同劇団の佐藤薫代表(60)は「さすがプロのダンサー。伸びやかで華麗な踊りは見とれてしまう」と絶賛する。

 ナタリアさんはウクライナ東部ドネツク州出身。首都キーウ(キエフ)からポーランドやトルコを経て昨年6月に来日した。侵攻開始から1年が過ぎても、軍靴の音が鳴りやまない母国の現状に「毎日不安で仕方ない。いつになれば帰ることができるのか」と嘆く。

 劇は銀河鉄道に乗った宮沢が「セロ弾きのゴーシュ」など自身の著作の登場人物と交流し、「幸い」を探す物語。ナタリアさんは「一刻も早く戦争が終わることを願い、ウクライナでダンスを教えていた生徒たちにも思いをはせて踊りたい」と決意する。

 26日のミュージカルは県民文化センターふくやま(東桜町)であり、チケットは1人千円。昼の部が午後1時、夕方の部が6時に開演。佐藤代表☎090(2806)0845。(松本輝)

(2023年3月24日朝刊掲載)

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