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父母の惨状の記憶 聞いて 「2世の語ろう会」が講話会 広島

 家族の被爆体験を証言する活動をしている市民グループ「ヒバク2世の語ろう会」の3人が、自らの父母の体験を語る講話会を広島市中区の原爆資料館で開いた。被爆者の戦後の人生に寄り添った家族が、78年前の惨状の記憶や、平和への思いを伝えた。

 菊池安芸子さん(57)=安佐南区=は母親(86)の体験を話した。当時9歳で爆心地から2・3キロの自宅近くで被爆。建物疎開作業に動員されていた姉を失った。「被爆から2日後に姉を捜し出したがすぐに亡くなった。悲しむ間もなく涙も出なかったそうだ」と話した。

 滝口裕子さん(68)=中区=は、母親が似島(現南区)の救護所での体験を生前につづった手記を朗読。「男の子が母親のことを思って私の手を握り、息を引き取った。あどけない顔が忘れられない」。野田次郎さん(76)=同=は市職員として広島の復興に尽力した父親への思いを語った。

 41人が聴講。家族の被爆体験を自由に発信する機会をつくろうと同会が初めて企画した。(新山京子)

(2023年3月27日朝刊掲載)

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