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「使用の恐れ」被爆者危機感 露のベラルーシ核配備

 ロシアのプーチン大統領が同盟国ベラルーシへの戦術核兵器の配備を表明したのを受け、広島の被爆者たちは26日、怒りの声を上げた。劣化ウラン弾をウクライナに供与する英国の決定に続く動きに「核使用への階段を上っているかのよう」と危機感も募らせた。

 日本被団協の箕牧(みまき)智之代表委員(81)=広島県北広島町=は「プーチン氏は言葉による核兵器使用の脅しから、具体的な行為に踏み込むのか。とにかくやめてほしい」と語気を強めた。相次ぐ対抗措置に「世界の二極化が進み、収まりがつかなくなっている」と懸念した。

 「こわい。でも、やっぱりこうなった」と憤るのは「核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)」の田中美穂共同代表(28)=広島市西区。「為政者は真剣に核廃絶に取り組んでこなかった。軍縮を打ち出さない限りエスカレーションは続く」と非難する。

 2012年にウクライナとベラルーシを訪れた被爆者の田中稔子さん(84)=東区=は、交流した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の被害者に思いを寄せ「大国にのみ込まれた周辺国の悲劇」と嘆いた。5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向け「軍拡の流れを方向転換する知恵をみんなで考えてほしい。広島で開くのだから」と訴えた。(宮野史康)

(2023年3月27日朝刊掲載)

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