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連載・特集

@ひろしまサミットまで 55日 熊野筆

 広島県熊野町は、全国一の筆生産量を誇ります。江戸時代後期に関西地方へ出稼ぎに行った農家が修業し、技術を持ち帰りました。かつては農業の傍ら、住民のほとんどが筆作りに携わっていました。

 書道人口の減少とともに書筆の生産が減る中、代わりに主流になりつつあるのが化粧筆です。滑らかな毛触りが特徴で、化粧の乗りが良いと評判です。

 2016年の伊勢志摩サミット(三重県)では、取材する各国のメディア関係者に4千本の化粧筆が贈られました。普段は独自に筆を作る職人たちですが、4事業者が筆の形や色、サイズをそろえ、上質なヤギの毛を使ったそうです。(加田智之)

(2023年3月25日朝刊掲載)

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