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艦載機移転5年 騒音増 岩国所属倍増の影響 広島・島根西部でも 大竹11倍 宮島3倍

 米軍岩国基地(岩国市)に空母艦載機の移転が2018年3月30日に完了してからの5年間で、米軍機によるとみられる騒音が岩国市だけでなく広島、島根両県の西部でも急増したことが27日、中国新聞の集計で分かった。22年度の騒音回数は移転完了前の17年度と比べ大竹市中心部で11倍、廿日市市宮島町で3倍に増えた。岩国基地の所属機が約120機と倍増した影響が浮き彫りになった。(有岡英俊)

 中国四国防衛局が公開している山口県東部と広島県西部、島根県西部の計33カ所の騒音測定データのうち、17年度から比較できる20カ所を集計した。

 「騒々しい街頭」に相当する70デシベル以上の測定回数でこの5年間で最も多かったのは21年度の計4万7415回。17年度(計2万1236回)の2・2倍となった。20カ所のうち18カ所で移転前を上回った。

 22年度は23年2月末まで(広島県西部と島根県西部の4地点は1月末まで)で計3万6251回。21年度より少ないのは、空母ロナルド・レーガンと洋上で展開する艦載機の帰還が2カ月遅かったことが一因とみられる。

 地域別では、騒音の激しい離陸直後や訓練空域のエリアで被害が増えた。大竹市中心部の西栄では22年度に1191回測定し、17年度の106回から11倍に急増。宮島でも646回と17年度の219回の3倍に。訓練空域の「エリア567」にある浜田市旭町は1096回と17年度の318回の3倍以上に増えた。20カ所のうち最多は、基地に最も近い岩国市三笠町の6221回で、移転前の2倍近くになった。

 岩国基地では厚木基地(神奈川県)から艦載機約60機の移転が完了し、所属機が倍増して極東最大級の航空基地になった。艦載機は毎年秋ごろ洋上から岩国基地に戻り、5月ごろまで基地を拠点に訓練する。その後に離れ、空母と洋上で展開する。

 市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の西浦紘子さん(78)が暮らす廿日市市でも騒音被害が常態化している。西浦さんは「艦載機の移転後、想像以上のスピードで騒音が広がり大きくなっている。話題になることも増えたが慣れていくのも怖い」と懸念する。

(2023年3月28日朝刊掲載)

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