×

ニュース

広島市の削除は「差別」 昨年の平和記念式典 故李さん動画 NPO指摘 「切り捨て」表現修正

 NPO法人共生フォーラムひろしま(広島市西区)は30日、市役所で記者会見し、昨年の市の平和記念式典前に会場で上映された故李鍾根(イ・ジョングン)さんのメッセージ動画の草案から、市の要請で一部削除されたと指摘した。朝鮮半島出身の被爆者が援護から切り捨てられたとした箇所で、「差別的な対応」と批判している。

 市によると、李さんの草案には朝鮮半島出身の被爆者に関し「終戦を境に外国人として切り捨てられ、援護を受けられないまま多くの人が死んでいった」と記されていた。市側が時間の制約などを理由に、「切り捨てられ」の削除を求め、李さんが応じたという。

 李さんは韓国原爆被害者対策特別委員会の委員長を務めていた。動画収録後の昨年7月30日に93歳で亡くなった。人権問題に取り組む共生フォーラムの笹川俊春理事は会見で「市の説明は十分な回答ではなく、憤りを感じる」と話した。市平和推進課は取材に「李さん本人と相談し、了解を得た上で修正した。差別の意図はなかった」と説明している。(川上裕)

(2023年3月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ