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「竹島絵本」を本格発売 隠岐の島の杉原さん「メチのいた島」 町民との関わり描く

 日韓両国が領有権を主張する隠岐の島町の竹島(韓国名・独島(トクト))をめぐって22日、韓国の実効支配が及ぶ前の町民との関わりを描いた絵本が発売される。竹島周辺の漁で連れ帰ったアシカ(地方名メチ)と子どもとの交流などを紹介している。

 「メチのいた島」でA4判変型、64ページ(税別1500円)。元小学校教諭で同町の杉原由美子さん(70)=写真=が昨年2月に500部を自費出版し、好評だったため「竹島の日」に合わせ本格出版された。

 舞台は同町久見。実効支配が始まる1954年以前、たびたび竹島に出漁していた地区だ。杉原さんは当時を知るお年寄りに聞き取りを重ね、原稿を執筆。久見地区出身の上中治さん(62)がイラストを手掛けた。改訂版では竹島問題の入門書にもなるよう、巻末に竹島の歴史をひもとく資料(12ページ)を載せた。

 杉原さんは自費出版後、県内外の小学校なで読み聞かせをしているが、学校側に断られたケースもあったという。「領土権といえば思想信条の問題と捉えられることもあるが、事実として竹島が町民生活に根付いていたことを知ってほしい」と話している。山陰中央新報社出版部Tel0852(32)3420。(樋口浩二)

(2014年2月22日朝刊掲載)

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