×

ニュース

旧満州の悲劇訴え 広島で体験者

 「満蒙開拓青少年義勇軍」として旧満州(中国東北部)に渡り、敗戦後はシベリア抑留を体験した印刷会社会長末広一郎さん(97)=広島市安芸区=の「お話を聞く会」が中区であった。「二度とあってはならない悲劇。歴史の事実をどうか知って」と訴えた。

 現在の広島県世羅町に生まれた末広さんは14歳で義勇軍に志願。国内で訓練を受け、海を渡った。「開拓」の名の下に現地の人の土地を二束三文で奪った実情などを語り、敗色濃厚な1945年まで10代の少年を義勇軍として送り込んだ当時の為政者を批判。植民地下で多くの朝鮮の人々が義勇軍とされたにもかかわらず、十分記録されていないことへも疑問を呈した。

 旧満州で肺を病んだ末広さんは療養中に敗戦を迎えシベリア抑留を経て49年に帰国。入院中に峠三吉と出会ったのが縁で印刷の道に入り、戦争の悲惨を冊子などに記録し発信してきた。

 この日は末広さんの友人で現地開拓民から集められ義勇軍に加わった野田邦雄さん(94)=大阪府東大阪市=も登壇。敗戦時に旧関東軍に見捨てられ、仲間が亡くなった状況を語った。講演会はNPO法人ワールド・フレンドシップ・センターの主催。(森田裕美)

(2023年4月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ