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原爆孤児の暮らし紹介 中区で「戦災児育成所」企画展

 原爆で親を奪われた子どもたちを受け入れた「広島戦災児育成所」の企画展が、広島市中区の原爆資料館で開かれている。創設者の山下義信氏(1894~1989年)の遺族から寄贈された資料などを通じて「原爆孤児」の厳しい暮らしぶりを紹介している。入場無料。

 育成所は山下氏が1945年12月、広島市郊外の五日市町(現佐伯区)に私財を投じて開設した。53年に市へ移管され、67年に閉じた。資料館東館で開いている企画展では、育成所でそろばんや算数を学ぶ子どもたちの写真や、職員が書いた日誌、山下氏が後年にまとめた記録など約150点を並べている。

 職員の「家庭日誌」には、真心を込めて日誌を書くよう初代所長の山下氏が職員に注意した記録があり、子どもたちを大切にしていた施設の様子がうかがえる。後に参院議員となり、原爆医療法の制定に尽力した山下氏の国会活動の記録や写真も展示している。

 東京都世田谷区の庭師宮本耕平さん(45)は「育成所の存在を初めて知った。山下氏の功績の大きさを感じた」と話していた。

 山下氏の遺族から2018年10月に関連資料計465点の寄贈を受けた資料館が企画した。9月11日まで。  (河野揚)

(2023年4月3日朝刊掲載)

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