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社説・コラム

[G7閣僚会合▶▶論点は 岸田政権閣僚に聞く] 林芳正 外相(外相会合16~18日、長野県軽井沢町)

「核兵器ない世界」今こそ

 5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、地球規模の課題について関係閣僚が議論する会合が今月から順次、全国各地で開かれる。16~18日に長野県軽井沢町で開催される外相会合で議長を務める林芳正氏は、核使用が危ぶまれる今こそ、「核兵器のない世界」を目指す姿勢を示すと訴えた。(樋口浩二)

  ―長期化するロシアのウクライナ侵攻にG7としてどう臨みますか。
 ロシアの行為はウクライナの主権と領土を侵害する暴挙で、明白な国際法違反だ。一日も早く終わらせないといけない。プーチン大統領に歩み寄りの兆しは全くない。外相会合ではG7の結束を維持し、対ロ制裁とウクライナ支援を推進するメッセージを出す。

  ―ロシアは核の威嚇を繰り返しています。被爆国としての役割は。
 核軍縮を巡る国際社会の分断が深まっている。こうした時だからこそ「核兵器のない世界」を目指す強力なメッセージを出さなければならない。核による威嚇や使用は絶対に許せないということも訴えたい。

  ―日本や欧米の西側諸国と、中国、ロシアの分断が深まっているとの指摘があります。G7として中国とどう向き合いますか。
 昨年11月の岸田文雄首相と習近平国家主席との首脳会談で、建設的かつ安定的な関係を築くと一致した。今回の私の訪中など今のモメンタム(勢い)を生かすことが必要。対話をしっかり重ね、共通の課題について協力することが大事だ。

  ―ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応は。
 大陸間弾道ミサイル(ICBM)級も含めて前例のない頻度の発射を続けている。断じて容認できない。北朝鮮は核・ミサイル開発の強化も宣言している。G7としては、関連する国連安全保障理事会の決議履行を求めていく。

  ―国内で前回あった外相会合に倣って「軽井沢宣言」を採択する考えは。
 どういった名称にするかは決まっていないが、何らかの成果文書を出す方向で調整していく。

 <外相会合>会場は長野県軽井沢町の軽井沢プリンスホテル。ロシアのウクライナ侵攻への対応や「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた連携、核軍縮などがテーマになると見込まれる。2016年4月には広島市であり、「核兵器のない世界」への環境醸成などを盛り込んだ広島宣言を採択した。

(2023年4月4日朝刊掲載)

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