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NPT準備委に緊急声明発出へ 国際賢人会議 東京で開幕

 「核兵器のない世界」への道筋を探る国際賢人会議が4日、東京都内で始まった。岸田文雄首相が提唱し、米国や中国など核兵器を持つ国と、ドイツやアルゼンチンなど持たない国の外交官や有識者が参加。今夏にオーストリアである核拡散防止条約(NPT)再検討会議第1回準備委員会に向け、核軍縮を促す緊急声明を出すことを確認した。

 昨年12月に広島市で開いて以来2回目。初日はオンライン形式を含め10カ国の委員13人が、緊急声明などについて非公開で話し合った。林芳正外相は「安全保障環境は第2次世界大戦以降最も厳しく複雑な状況。国際社会の連携がこれまで以上に重要だ」とするビデオメッセージを寄せた。

 国会内では軍縮関連の議員連盟とも意見交換。ロシア・エネルギー安全保障研究センター長のフロプコフ氏はウクライナを核で威嚇しているとの国際社会の見立てを否定し、「国際賢人会議は誤解や偏見を解消する一助になる」と述べた。

 委員らと官邸で会った岸田首相は、5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に触れ「国際賢人会議の議論を参考に(核軍縮の)現実的、実践的な取り組みを前進させたい」と強調した。

 2026年に予定されるNPT再検討会議に向け、この夏から準備委も始まる。首相と面会後、国際賢人会議座長の白石隆熊本県立大理事長は「NPT体制をいかに守り、強化していくかが重要だ」と訴えた。会議最終日の5日は緊急声明の中身を詰める予定だ。(中川雅晴、口元惇矢)

(2023年4月5日朝刊掲載)

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