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福島「被災者」父娘 原爆の悲劇を朗読 広島

 原爆で父を失った娘の葛藤を描いた戯曲「父と暮せば」(原作井上ひさし)の上演が、広島市西区南観音の真宗学寮であった。福島第1原発事故で古里を離れた橋本宙八さん(66)、朋果さん(28)父娘が約60人を前に朗読劇形式で演じた=写真。

 放射能汚染を恐れて福島県いわき市から京都市に避難、自然食の店を開いている橋本さん父娘。劇では、同じ「被災者」として主人公に思いをはせた。生き残った罪悪感に悩む娘と、娘の恋を後押しする父を、特訓した広島弁で熱演した。

 「炎に包まれた家で娘に逃げるよう促した『父と暮せば』の父と、安全を考えて子どもを遠くに住ませたい福島の親が重なり合う」と宙八さん。「体験を語り継ぎ、命をつなぐことが大切、との思いを劇に込めた」と話していた。

 同学寮の岡本法治教授が京都での2人の初演を見て、広島での上演を勧め、実現した。

(2014年2月24日朝刊掲載)

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