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大和・旧海軍工廠 資料を調査 呉市2年計画 産業・文化価値を再確認

 広島県呉市は新年度、戦艦大和や建造を担った旧呉海軍工廠(こうしょう)の関連資料の調査、研究に乗り出す。高度な技術を生んだ海軍の資料を産業、文化的遺産とし、価値を再確認する。ものづくりのまちのイメージ向上も目的。

 期間は2年で、国補助金を含め計4千万円の事業費を確保。新年度当初予算案には2千万円を計上した。調査、研究対象は国外の資料も含める。国と調整して4~6月、正式決定する。

 構想では、約20万点を収蔵する大和ミュージアム(呉市宝町)の資料を調べ直す。テレビ局が1999年、大和が沈む鹿児島沖で実施した潜水調査の約70時間の映像を解析。大和や工廠にまつわる文書、写真や図面のデジタル化も計画する。

 国外の資料にも着目。米ワシントン海軍工廠が展示する大和型艦船の装甲板も調査の候補にする。当時の日本の製鋼技術の高さを示す資料という。米国立公文書館にある旧海軍の艦船の映像の分析も検討する。

 近く県や市、有識者でつくる検討委員会を設立。市と検討委が方針を立て、コンサルタント業者に業務を委託する。

 大和ミュージアムは来年開館10周年を迎えることもあり、市は調査、研究の成果を特別展などに活用したいとする。市商工振興課は「大和を建造した呉市のイメージを高め、観光客増につなげたい」としている。(小島正和)

(2014年2月25日朝刊掲載)

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