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家族の被爆伝承 初の任命は7人 広島市 研修早期修了 6月にも始動

 家族の被爆体験を聞き取って語り継ぐ広島市の「家族伝承者」に、初めて7人が任命された。市が2022年度に始めた育成研修を早期に終えた32~66歳(1日時点)。6月にも、市内外の学校や原爆資料館(中区)で活動を始める。

 広島平和文化センターが任命し、期間は今月1日から1年となる。7日に原爆資料館東館であった任命式で、センターの香川剛広理事長は「努力は地道ではあっても、着実に平和の構築につながる」とエールを送った。

 母親が被爆した森河伸子さん(66)=廿日市市=は「家族伝承者になるため、改めて母の体験を聞いた。家族だからこその視点を大切にしたい」。祖父の記憶の伝承者となった会社員尾形健斗さん(32)=東区=は「子どもたちの前で話す姿をおじいちゃんに見せたい」と意気込んだ。

 市は22年度に家族伝承者制度を創設。7月に被爆の実態や話し方を学ぶ研修を始めた。修了には約2年間かかるとしているが、今回の7人は講話原稿が早く仕上がるなどしたため、大幅に期間を短縮した。ほかに44人が研修中という。

 また、4月1日付で自らの被爆体験を語る「被爆体験証言者」も80~95歳(同日時点)の33人が任命された。2人が新たに加わった一方、22年度中に4人が亡くなったり退いたりした。被爆体験証言者の記憶を第三者たちが受け継ぐ「被爆体験伝承者」は196人となった。(小林可奈、川上裕)

(2023年4月8日朝刊掲載)

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