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連載・特集

ヒロシマの声 NO NUKES NO WAR] 世界の若者 共に行動を 盈進中・高ヒューマンライツ部部長 山中彩也花さん(17)=福山市

 ≪中学1年の時に平和や人権問題を調査研究し、ボランティア活動に取り組む福山市の盈進中・高ヒューマンライツ部に入部。地元のホロコースト記念館でボランティアガイドを務め、広島、長崎、沖縄各県の被爆者や戦争経験者の声をじかに聞いてきた。核兵器廃絶の署名活動や、平和を訴える催しでのプレゼンテーションなどに取り組んでいる。≫

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 ロシアによるウクライナ侵攻から1年余り、どうやったらこの戦争が終わるのか、考え続けている。戦地の人たちの日常や未来、描いた夢は壊された。想像するだけですごく苦しい。

 ウクライナからの子どもの連れ去りに関与した疑いで、国際刑事裁判所(ICC)はロシアのプーチン大統領に逮捕状を出した。連れ去られた教育施設では監禁や暴行があったという。怒りで涙が出た。どうして、未来のある子どもたちにそんなことをするのか。なぜ彼らは、私たちと同じように机に向かい、授業を受けられないのか。やりきれなさが募る。

 入学以降、15歳で被爆した切明千枝子さん(93)=広島市安佐南区=の講話を何度も聞いた。「制服もみんな焼けて裸同然。手や足の先から泥水に浸した長い昆布かワカメみたいな皮膚を引きずって…」。切明さんは、被爆直後の人々の様子を振り返り「生きてこそ平和。あなたたちを戦争や核兵器で死なせてなるものかと思っています」と語る。

 切明さんの証言集の出版に当たり、私は本の注釈を担い、幼い子どもにも伝わるよう言葉を選んだ。この証言集は次世代へのバトンだ。沖縄戦の語り部や長崎の被爆者も命の大切さを繰り返し訴える。私たちは被爆者たちの生の声を聞ける最後の世代。今こそ、その言葉の重みと意味をかみしめて行動に移すべきだ。

 だからどうか、私たちの行動を「意識高いね」と冷ややかに見ないでほしい。世界中の若い人たちも、被爆者の証言や戦争のニュースに触れ、一緒にアクションを起こしてもらいたい。

 広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、米国をはじめ参加国の駐日大使館などに手紙を送る。この戦争でどんなことがあっても核兵器を使わせないでと訴えるつもりだ。サミットでは核兵器廃絶に向けた具体的な議論を進めてほしい。そして、新たな被爆地を絶対につくらないでほしい。ウクライナとロシアの人々に日常が戻ることをずっと願っている。(聞き手は原未緒)

(2023年4月12日朝刊掲載)

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