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広島サミット5・19~21] 街角 増える警官 物々しさと安心感と

市中心部 県外から応援続々

警戒中に救助も

 5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)まで1カ月余りとなり、市内で制服姿の警察官が目立ち始めた。広島県警は県外の警察と連携し、市中心部の街頭やJR広島駅(南区)などの警戒を強化している。制服警察官を多く配置することでテロや犯罪の抑止を狙う「見せる警備」。地域に物々しい雰囲気が漂う一方、市民からは「安心安全につながる」との声も上がる。(堅次亮平)

 11日午後、中区の平和記念公園近くの交差点。「宮城県警」と背中に記された警察官2人が立ち、周囲に目を光らせていた。3月下旬以降、各地から相次いで広島入りしている「特別派遣部隊」だ。サミット主会場のグランドプリンスホテル広島(南区)周辺や広島駅などには「警視庁」「愛知県警」の制服を着た警察官も。部隊は今後さらに増えるという。

 「あちらこちらに警察官がいて、何か事件が起きたのかと思った」。新型コロナウイルス禍が落ち着き、平和記念公園を訪れた大阪府豊中市の主婦(60)は違和感を口にした。24時間態勢で警戒する警察官の主な任務は不審者の発見や摘発。通行人に声をかけ、夜間は懐中電灯を手に巡回する姿に物々しさを感じる市民もいる。

 一方、多数の警察官が街頭にいることで安心感も生まれている。中区の袋町小の通学路では連日、登下校する児童を見守る形に。三吉和恵校長は「子どもたちが通りかかると警察官は声をかけてくれる。新入生が入ったばかりで児童の安心安全につながる」と感謝する。

 3月24日未明には、中区の元安川で溺れている女性(20)を警視庁の20代の警察官4人が救助した。警戒中に人が川に落ちたような音で気付いたという。広島県警は11日、4人に感謝状を贈った。

 2016年の伊勢志摩サミット(三重県)は、最大2万3千人態勢で警備に当たった。広島サミットは同等かそれ以上の態勢になるとみられている。広島県警は要人警護に加え、治安の維持も重視しており、長野吉克警備部長は「県民の理解、協力をいただきながら全国の警察と一致団結して警備を完遂したい」と力を込める。

(2023年4月12日朝刊掲載)

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