連載・特集

　平和記念公園（広島市中区）がある元安川と本川に挟まれたデルタ地帯上流部は「中島地区」と呼ばれ、幕末から明治、大正にかけて市内屈指の繁華街でした。大正半ばごろに八丁堀周辺に繁華街が移ると往時ほどの活気はなくなりますが、「あの日」まで生活感あふれる一帯でした。園内の芝生広場辺りの「材木町筋」には、衣料品店や酒店などが沿道に並んでいました。

　７８年前、爆心直下で地区は全滅。戦後は４９年制定の広島平和記念都市建設法に基づき、平和のシンボルとなる緑豊かな公園へと整備されました。元安橋西詰めのレストハウスが唯一、被爆前の街の姿を今に伝えています。（新山京子）

（２０２３年４月１２日朝刊掲載）