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生きた証し 平和の志に 特攻で戦死 岩国出身の新屋勇さん 剣道場に遺品20点展示

 太平洋戦争の末期に特攻隊員として21歳で戦死した岩国市出身の新屋勇さんの遺品が、同市岩国の剣道場「岩国練武場」で展示されている。練武場に通っていた新屋さんの命日の11日に合わせ、平和について考える。28日まで。(有岡英俊)

 新屋さんは岩国城下町で生まれ育ち、地元の練武場で汗を流した。東京陸軍航空学校や飛行学校で操縦を学び、飛行戦隊に配属された。1945年4月11日、台湾・宜蘭(ぎらん)から戦闘機で飛び立ち、沖縄西方の海上で米艦艇に体当たりし戦死した。

 東京陸軍航空学校でつづった日記やアルバム、稽古の皆勤賞の賞状など約20点を並べる。母校の岩国小の周辺を飛んだ郷土訪問飛行に感激した児童や教職員の様子を記す校長の手紙も展示する。

 道場に通う岩国中1年の竹内唯斗さん(12)は「国のために若くして亡くなって驚いた」。米軍岩国基地にある学校の教員ブリンソン・トランさん(29)は「新屋さんが通った道場で日本の人たちと一緒に稽古して平和を考えたい」と話す。

 遺品約50点が2018年に遺族から道場のOB会に寄贈された。ロシアによるウクライナ侵攻が激化した昨年、平和について考えてもらおうとOB会が初めて展示した。侵攻が終結する見通しが立たないため、2年連続で開催を決めた。

 OB会の藤本治道顧問(75)は「平和を願い遺品を託してくれた遺族のためにも新屋さんを多くの人に知ってほしい」と話す。稽古のある火、金曜の午後5時~7時半に見学できる。練武会の栗栖嗣夫会長☎090(8605)5367。

(2023年4月12日朝刊掲載)

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