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社説・コラム

[G7閣僚会合▶▶論点は 岸田政権閣僚に聞く] 西村康稔 経産相(気候・エネルギー・環境相会合15、16日、札幌市)

脱炭素 多様な道筋を確認

 5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた気候・エネルギー・環境相会合が今月15、16日に札幌市である。議長を務める西村康稔経済産業相は各国が進めるカーボンニュートラルに「多様な道筋があると確認していく」との姿勢を示す。(山瀬隆弘)

  ―気候・エネルギー分野では何を中心に議論しますか。
 ロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー情勢が一変した。会合は、安定供給と脱炭素の両立が重要な視点になる。世界には産油国も、石炭の多い国も、原子力発電をやっている国も、再生可能エネルギーの適地が多い国もある。カーボンニュートラルに向けては各国の事情に応じた取り組みがある。省エネの重要性や水素、アンモニアの活用も含めた多様な道筋を確認する。

  ―日本の方向性は。
 再エネの最大限の導入を目指している。さらに脱炭素エネルギーへの移行期間は液化天然ガス(LNG)を活用する。余剰分を確保し、マレーシア、シンガポール、タイと融通する仕組みがある。こうした枠組みを広げたい。中国の経済回復が顕著になれば、次の冬のエネルギー需給は逼迫(ひっぱく)する。議論を詰めたい。

  ―岸田文雄政権が再エネと並んで活用を目指す原発の議論はどうなりますか。
 米英仏の閣僚とは次世代革新炉の開発に向けた連携を確認している。会合で原子力活用の重要性も議論したい。ただドイツのように原子力をやめる国もある。強制ではなく多様な道筋の一つとして原子力も描ければと考えている。

  ―会合の成果を5月のG7サミットへどのようにつなげますか。
 気候、エネルギー、環境の3分野で多くの閣僚が集まる会合だ。特にエネルギーは世界経済の成長の鍵を握るだけに、心して対応する。広島での首脳間の大きな方向性の確認に向け、これまで重ねた議論を深化させる。

 <気候・エネルギー・環境相会合>会場は札幌市中央区の札幌プリンスホテル。世界的な脱炭素と経済成長を同時に達成する方策を協議する。議長は西村経産相と西村明宏環境相。経済協力開発機構(OECD)国際エネルギー機関(IEA)国際再生可能エネルギー機関(IRENA)なども招待参加する。

(2023年4月13日朝刊掲載)

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