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広島サミット5・19~21] 芸北神楽 国際発信へ結集 広島3市町の全神楽団が連携会議

国内外ニーズ対応 16日公演

 広島県を代表する伝統芸能・神楽の里である安芸高田市と北広島町、安芸太田町の全ての神楽団がタッグを組み、ひろしま芸北神楽協議会連携会議を設立した。5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)や2025年大阪・関西万博を見据え、国際的な注目が集まる広島で発展、継承される神楽の魅力を発信する。連携会議が推進母体となり、県外や海外公演のニーズへ対応する。(胡子洋)

 連携会議は16日、広島市中区の県民文化センターでサミットを前に第1弾の無料公演を開く。

 3市町の神楽団は計約100を数え、県内の芸北神楽を継承するうちの約8割を占める。1990年代後半からの神楽ブームで上演機会が増えファンを広げた一方、中山間地域では少子化や過疎高齢化が進み、団員確保が喫緊の課題だ。加えて新型コロナウイルス禍で各地の祭りやイベント、共演大会の中止が相次ぎ、舞う場の急減で活動継続が困難な団も出ている。

 こうした現状を受け、3市町の各神楽協議会は団の維持や発展とともに、神楽を支える面や衣装、音響などの産業を守るには自治体の枠を超えた連携が必要と確認。発信力強化や母体となる組織が不可欠とし、広域的な組織設立を決めた。

 連携会議は、神楽の調査研究や発信を手がけるNPO法人広島神楽芸術研究所(北広島町)が事務局を担う。今後、新たな場所での上演企画などを通して県北への誘客につなげる。県内で神楽が盛んな広島市や備後地域にも働きかけ、一体でのアピールも描く。

 連携会議の議長に就いた安芸高田神楽協議会の塚本近(ちかし)会長は「神楽は各地域で守ってきたが限界にきている。広い枠組みで発信や情報収集をして盛り上げたい」と強調。芸術研究所の林秀樹理事長は「神楽は広島にとって貴重な観光資源。インバウンド(訪日客)需要も回復傾向にあり、広島に注目が集まる今こそ国内外にアピールしたい」と力を込める。

 16日の公演は午後1時から。安芸太田町の津浪、北広島町の上石、安芸高田市の日吉の各神楽団が1演目ずつ披露する。県民文化センターでチケットを配る。同センター☎082(245)2311。

(2023年4月13日朝刊掲載)

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