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「疑わしい人 全て被爆者」 「黒い雨」救済へ原告団結成 28日に提訴

 広島原爆の投下後に降った「黒い雨」の被害者救済を巡り、国が昨年4月に運用を始めた新たな被爆者認定基準の下で被爆者健康手帳を申請し、却下されるなどした広島県内の23人が15日、県と広島市に却下処分の取り消しなどを求める訴訟の原告団を結成した。28日に広島地裁に提訴する。

 23人は70~90代で、現在の廿日市市吉和や同県北広島町大朝、安芸区などで雨に遭ったとして手帳を申請。16人は却下され、残る7人は未処分のまま審査が長期化している。

 この日、支援団体は原告たちと共に中区で集会を開いた。昨年11月に却下された原告団長の岡久郁子さん(82)=西区=は「疑わしい人(黒い雨に遭った可能性がある人)は全て被爆者と認めるのが国の本来の在り方だ」と訴えた。

 黒い雨を巡っては、広島高裁が2021年7月、従来の援護対象区域より広範囲に雨が降った可能性があると指摘し、被害者の救済拡大を命じた。これを受けた新基準では黒い雨に遭った可能性を否定できず、がんなど11疾病のいずれかにかかっていることを手帳交付の要件とした。

 県と市によると、高裁判決後、今年3月末までに申請のあった計4696人のうち計184人が却下となった。(堅次亮平)

(2023年4月16日朝刊掲載)

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