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核巡る安全保障議論 広島でシンポジウム

 5月に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、核兵器を巡る世界の安全保障を考えるシンポジウムが15日、南区であった。国際政治の専門家らが意見を交わし、約360人が耳を傾けた。

 冒頭、米国の元国防次官補代理でローレンス・リバモア国立研究所グローバルセキュリティリサーチセンター所長のブラッド・ロバーツ氏が基調講演。安全保障環境の変化を挙げ「(米国の)核戦力を近代化しないのなら、軍備放棄に等しい」とし、核抑止力強化の必要性を強調した。

 続いて東京大の北岡伸一名誉教授や同大先端科学技術研究センターの小泉悠専任講師らが「東アジアの安全保障と核抑止の行方」と題して考えを語り合った。

 核抑止の有効性を前提とした議論を受け、広島から登壇した被爆者の小倉桂子さん(85)は「いま当惑と絶望の中にいる」と述べ「核兵器のリアルを伝えたい」と8歳で被爆した体験を証言。川野徳幸・広島大平和センター長は「きのこ雲の下で何が起こったのか、かたくなに訴え続けるのがヒロシマの役割」と訴えた。

 五百旗頭真・元防衛大校長らが実効性ある軍縮交渉について議論するセッションもあった。読売新聞社の主催。(森田裕美)

(2023年4月16日朝刊掲載)

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