×

連載・特集

@ひろしまサミットまで 33日 被爆者の人形

 がれきの街で、両手から皮膚を垂らし、水を求めてさまよう―。広島市中区の原爆資料館には1991年から2017年まで、原爆投下直後の被爆者の姿を表した等身大の人形が展示されていました。大人の女性と女学生、男児を模したプラスチック製の3体です。先代はろう人形でした。

 資料館が実物資料重視の展示に見直し、人形の撤去方針を打ち出すと、反対意見が相次ぎ寄せられました。幼い頃に人形を通じて原爆の恐ろしさを学んだ来館者が多くいたからです。

 19年のリニューアル後、本館には被爆者の遺品など実物資料約300点が並んでいます。人形は地下の収蔵庫に保管され、撤去後は一度も活用されていません。(宮野史康)

(2023年4月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ