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各国首脳 被爆者と面会へ 広島サミット初日 資料館視察時 政府最終調整

 政府は、5月19~21日に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、広島の被爆者と各国首脳の面会を日程に組み込む方向で最終調整していることが14日、分かった。核兵器を持つ米国、英国、フランスのトップが初めて被爆地に集う歴史的な会合。議長を務める岸田文雄首相は、被爆の惨状を伝えるには被爆者との対話が不可欠だと判断したもようだ。(樋口浩二、小林可奈)

 政府関係者によると、G7首脳がそろって平和記念公園を訪れて原爆資料館を視察する際、館内で広島の被爆者と対面する。サミット初日の5月19日とする方向で、その後の討議で予定する「核兵器のない世界」に向けた議論につなげる狙い。原爆投下国・米国を含め、G7各国から水面下で了承を得ているという。

 岸田首相は、各国の政治指導者に被爆の惨禍にじかに触れてもらう大切さを唱えてきた。広島県、広島市のほか被爆者団体や市民グループなど各方面からG7首脳と被爆者との面会を繰り返し求められ、実現への思いを強めたとみられる。

 原爆資料館では首相自らが各国首脳の案内役を務める計画だ。G7首脳にどれだけ時間を割いて被爆者と向き合ってもらうのかが焦点になる。人選については政府が、地元官民でつくる広島サミット県民会議から推薦を受け、最終調整している。

 核兵器保有国の首脳と被爆者との面会を巡っては、2016年に米国のオバマ氏が現職大統領として初めて広島を訪れて原爆慰霊碑の前でスピーチした後、広島県被団協理事長だった故坪井直氏たちと言葉を交わすなどした。短時間のやりとりだったことから、被爆者から「不十分だ」との声もあった。

(2023年4月15日朝刊掲載)

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