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露軍の即時撤退 要求へ 対中懸念 共有を確認 G7外相会合

新興国 連携強化で一致

 先進7カ国(G7)外相会合は16日、長野県軽井沢町のホテルで始まった。東シナ海などで覇権主義的な動きを強める中国への懸念を共有し、台湾海峡の平和を守る重要性を確認。17日の討議ではウクライナ情勢を巡ってロシア軍の即時撤退を求める姿勢で一致した。議長国の日本政府は、最終日となる18日にG7の結束を確認する共同声明を出し、5月に広島市で開くG7首脳会議(サミット)への弾みとしたい考えだ。(樋口浩二)

 議長を務める林芳正外相をはじめ、ブリンケン米国務長官やクレバリー英外相たちが参加。歓迎行事などがあった16日に続き、17日は四つのテーマごとの討議に臨んだ。ウクライナ情勢に関してはロシア軍の即時撤退に加え、第三国からロシアへの武器供給を止めるために協力する方針を確認。ベラルーシに戦術核を配備すると表明したプーチン大統領を非難した。

 ウクライナの和平交渉に関しても意見を交わした。林氏は討議後の記者会見で、中国が独自の和平案を出していることに「ウクライナの将来は、ウクライナの人々が決めるべき問題だ」と不快感を示した。

 中東情勢での議論では、イランの核兵器開発を認めないとの認識を改めて共有。イランに核不拡散の義務を守ることも求めた。

 林氏は米国、英国、ドイツ、イタリアの各外相との個別会談もした。米国のブリンケン氏との会談では「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国との連携を強める姿勢で一致。広島サミットの成功に向け協力することも確認した。

 18日は広島サミットに向け、岸田文雄首相が掲げる「核兵器のない世界」への各国の役割について意見を交わす。日本政府は、首相が提唱する核不使用の継続や核戦力の透明性向上などの行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿った現実的対応を訴えるという。共同声明にはロシア軍の撤退要求や中国の軍事行動への懸念などを盛り込む見通しだ。

記者のつぶやき

警備数千人 厳戒の別荘地

 JR軽井沢駅沿いの国道に神妙な面持ちの警察官が並ぶ。大阪府、京都府、静岡県…。全国から派遣されたG7外相会合の警備隊で、コンビニなどの店舗内にも立っている。政府は人数を公表していないが、数千人規模とみられる。別荘地に似つかわしくない物々しい雰囲気が漂う。

 岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれる事件が直前に発生。当初の計画より態勢を増強したという。各国外相の歓迎行事の参加者も金属探知する徹底ぶり。「万が一のことがあれば広島サミットどころではない」。外務省幹部は危機感をあらわにする。

 取材でドイツから訪れたという女性記者に聞くと、事件を念頭に「警備強化は当然。ただリスクはゼロにできない」と悩ましげな表情を浮かべた。サミットの成功には、テロを含む危険性を開催地から極力排除する努力が必要になる。(樋口浩二)

(2023年4月18日朝刊掲載)

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