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基地・原発で真っ向対立 安保とエネ政策 2氏訴え

 衆院山口2区の補欠選挙で、選挙区内にある米軍岩国基地(岩国市)と山口県上関町で計画される原発建設が争点になっている。野党系の無所属元職平岡秀夫氏(69)と、自民党新人岸信千世氏(31)は、安全保障とエネルギー政策で訴えが真っ向から対立する。(有岡英俊、川村奈菜、山本祐司)

 「極東最大級の岩国基地が攻撃対象になるかもしれない」。平岡氏は16日、岩国市内での個人演説会で訴えた。敵基地攻撃能力の保有を明記した政府の安保関連3文書を批判する。台湾有事などへの危機感から日米同盟の抑止力を強める政府に対し「軍事力を高めるよりも米中を取り持つ外交努力が必要」とする。

 岩国基地では艦載機約60機の移転が2018年3月に完了し、周辺で騒音が大幅に増えた。

 岸氏は父信夫氏が防衛相の時に秘書官を務めた。岩国基地を「安全保障、国防の要」と位置付け、政府方針に理解を示す。16日に基地近くの街頭で「騒音や安心安全の課題に細心の注意を払わなければいけない」と演説。父が防衛相の時にできた米軍再編交付金の後継制度を活用し、地域振興策を進める考えも示す。

 13日、中国電力の原発建設計画がある上関町に2人の姿があった。

 福島第1原発事故が起きた11年当時、民主党政権で総務副大臣を務めていた平岡氏。街頭での演説で「上関に原発を造らないことで、福島のような事故は防げる」と強調した。脱原発の姿勢を明確に打ち出し、再生可能エネルギーの分野で取り組みを強めていく必要があると訴える。

 岸氏は、原発建設の是非を争点に新人2人が戦った昨年10月の町長選で推進派の西哲夫氏が当選したことを踏まえ「上関町は国のエネルギー政策に前向き。その姿勢を支えたい」と力を込めた。「原発回帰」などによる電力の安定供給や脱炭素社会の実現を目指す自民党の政策を掲げる。

 有権者は23日の投票に向け、論戦に耳を傾ける。岩国市の女性(80)は「基地と原発は地域に影響を及ぼす大きなテーマ。当選した人は訴えたことをしっかり実行すべきだ」。2人の主張を聞き比べて投票所に行くという。同市の自営業女性(46)は「基地や原発は生活を変える。公共施設への投資より、暮らしやすさを実感できる取り組みに力を入れてほしい」と話す。

衆院山口2区補選候補者(届け出順、敬称略)

平岡秀夫69 弁護士 無元
岸信千世31 元議員秘書 自新

(2023年4月19日朝刊掲載)

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